婦人科腫瘍について

婦人科腫瘍とは、女性の生殖器(子宮・卵巣・膣・外陰部など)に発生する腫瘍のことを指し、良性のものから悪性腫瘍(がん)まで多岐にわたります。
腫瘍の中には自覚症状が少ないものも多く、検診や画像検査などで偶然見つかるケースもあります。
早期に発見し、適切な診断と治療を行うことがとても重要です。
婦人科で診療する代表的な腫瘍には、子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮内膜ポリープなどの良性腫瘍、そして子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんなどの悪性腫瘍があります。
良性であっても、大きくなると症状が現れたり、他の臓器に影響を与えたりすることがあるため、経過観察や治療が必要となることもあります。
以下のような症状がある場合は、婦人科腫瘍が隠れている可能性があります
- 月経以外の不正出血がある
- 月経量が多くなった、月経が長引いている
- 下腹部にしこりや圧迫感がある
- 腰痛や骨盤の違和感がある
- おりものの量や色、においに異常がある
- 急に体重が増加した
- 急にお腹が膨らんできた
- 排尿・排便がしにくい、尿漏れ、頻尿、便秘が続く
- 性交時に痛みや出血がある
女性内性器は自覚症状が出にくいため症状を待つのではなく、年に1回は定期的に婦人科検診をしましょう。
当院では、日本産科婦人科学会専門医の女性医師が丁寧に対応し、適切な診断と治療方針をご提案いたします。
また、より高度な医療環境による検査や手術などの専門的な治療、入院等が必要と判断した場合は、連携する専門の医療機関に、速やかにご紹介いたします。
子宮頸がん
子宮頸がんは、子宮の入り口にあたる「子宮頸部」に発生するがんです。
比較的ゆっくり進行し、前がん病変(異形成)と呼ばれる段階からがんに進行するまでには年単位の時間がかかることが多いため、定期的な検診で早期発見・治療が可能な病気です。
子宮頸がんの主な原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの持続的な感染です。
HPVは性交渉によって80%の女性は感染していますが、自己の免疫が増殖を抑えているため異常を起こしません。
しかし一部の高リスク型HPVの増殖が長期間持続すると細胞ががん化することがあります。
性交経験のあるすべての女性がリスクを持ちます。
喫煙者、免疫力が低下している方、クラミジアなどの性病に感染している方、HPVワクチン未接種の方などはリスクが高いとされています。
発症のピークは30代後半〜40代前半と70歳以降で、近年は20代でも増加傾向にあります。
中でも出産経験のある30代の女性に好発しやすく、年間で日本人女性の1万人以上が発症すると言われています。
初期の子宮頸がんや異形成(前がん病変)では、ほとんど自覚症状がありません。
がんが進行してくると、以下のような症状が見られることがありますので、その場合はお早めにご受診ください。
- 性交時や内診後の出血
- 月経以外の不正出血
- おりものの異常(血が混じる、においが強い)
- 下腹部や腰の痛み
- 排尿・排便時の違和感や痛み
検査
子宮頸がんの最も基本的な検査は「子宮頸がん検診(細胞診)とハイリスクHPV検査」です。
子宮の入り口の細胞を綿棒などで採取し、顕微鏡等でがんや異形成の有無を調べます。
参考→子宮頸がんの検査
治療
治療法に関しては、がんの進行度によって異なります。
異形成(前がん病変)であれば「子宮頸部レーザー蒸散術」、異形成もしくは子宮頸部上皮内がんであれば「円錐切除術」を検討します。
当院では、これらの治療に関し、日帰りで実施しています。
子宮頸部レーザー蒸散術
子宮頸部レーザー蒸散術では、レーザー光線による熱で子宮頸部を円板状に変化を加えて蒸散します。
当院では持続する中等度異形成〜高度異形成、子宮頸部上皮内がんを対象に行います。
手術時間は概ね5~10分で、局所麻酔を使用します。
治療の主体は円錐切除術ですが、レーザー治療でも円錐切除に匹敵する治癒率が報告されています。
また、子宮頸部を切除しない(短縮しない)ため、円錐切除術よりも妊娠合併症が少ないとされています。
また保険適用の治療で、繰り返し行うことも可能です。
円錐切除術
円錐切除術は、子宮の頸部を円錐状に切除するものです。
レーザー蒸散術に比べると、早産などの妊娠合併症が正常の1.5倍に増えるという報告があります。
病変を大きく取ろうとすると、子宮の入り口を支える子宮頸部筋層の喪失も大きくなり、その分、早産などのリスクが高まります。
当院では、日本婦人科腫瘍学会 専門医・指導医である女性院長が、専門性と経験を活かし、深く切除する必要がない部分にはレーザー蒸散を追加するなど工夫をして、筋層の損傷を極力小さくし、妊娠合併症を低くするように手術を進めています。
進行がんでは、手術(子宮全摘出)、放射線治療、抗がん剤治療などが組み合わされることもあります。
妊娠を希望するかどうかも治療法の選択に影響します。
子宮頸がんは早期発見ができれば、比較的生存率は高いがんであると言われています。
そのため20歳以上の女性は、1年に1回の子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。
また子宮頸がんはHPVワクチンの接種により予防できるがんと言えます。
ワクチンはHPV感染を予防し、将来の子宮頸がんリスクを大幅に減らす効果があります。日本では、小学6年〜高校1年相当の女子を対象に、定期接種として公費で受けられます。公費接種が過ぎてしまった方でも接種による予防効果には期待が出来ます。特に円錐切除後やレーザー蒸散術後は高い再発予防効果が証明されていますので接種を推奨します。
参考→予防接種
ご予約の際は、「婦人科精密検査または異形成フォロー」を選択してください。これまで子宮頸がん検診で異常を認めたことがない方は「婦人科検診・おりもの異常・その他の診察または定期検診」を選択してください。
子宮体がん
子宮体がんは、子宮の内側を覆う「子宮内膜」に発生するがんで、「子宮内膜がん」とも呼ばれます。
子宮頸がんとは異なり、比較的高齢の女性に多くみられるもので、50歳代〜60歳代の閉経前後の女性に多く見られ、年間約8,000人の方が、この病気の診断を受けています。
近年では生理不順を原因として、30〜40代の若い女性にも発症が増えています。
子宮体がんの主な原因は、女性ホルモン(エストロゲン)の過剰な刺激と排卵後に分泌される黄体ホルモンの相対的な不足です。
排卵のない月経周期が続くことで、子宮内膜が持続的に刺激され、異常増殖が起こり、やがてがん化することがあります。
また、肥満や糖尿病、高血圧といった生活習慣病との関連も指摘されています。
以下のような方は子宮体がんのリスクが高いとされています
- 生理不順(特に更年期の無月経)の方
- 無排卵周期が多い方(例:多嚢胞性卵巣症候群)
- 未出産の方
- 糖尿病や高血圧がある方、肥満体型の方
- タモキシフェン(乳がん治療薬)を服用している方
- 遺伝性疾患(リンチ症候群など)の家族歴がある方
子宮体がんの症状としては、初期症状として最も多いのは、不正出血です。
特に、閉経後の出血や、生理以外のタイミングでの出血がある場合は注意が必要です。
進行すると、下腹部の痛みやおりものの異常、体重減少、貧血症状などが現れることもあります。
以下のような症状がある場合は、子宮体がんの場合があります
- 月経以外の出血(特に閉経後)
- 水っぽい・血の混じったおりもの
- 下腹部痛、腰痛
- 貧血、疲れやすさ
- 体重減少
検査
子宮体がんの検査では、まずは内診と経膣超音波検査を行い、子宮内膜の厚さや異常がないかを確認します。
子宮内膜が厚くなっていた場合には、「子宮内膜細胞診、組織診」を行います。
これは細い棒状の器具を子宮内部に直接挿入して細胞、組織を採取する検査です。
子宮内膜増殖症と診断されたり外来組織診では十分な診断が出来ない場合は静脈麻酔下にて子宮内膜全面掻把術を行うこともあります。
検査結果は2週間程度でわかります。
その後、医師が必要と判断すれば、子宮鏡検査やMRI検査が行われることもあります。
参考→子宮体がん検査
治療
前がん状態の子宮内膜増殖症まではホルモン剤内服で治療可能ですが、子宮内膜異形増殖症以上の場合は外科的治療(子宮・卵巣・卵管の摘出)が中心です。
がんの進行度によっては、リンパ節の切除も行われます。進行例や再発例では、手術後に放射線治療や抗がん剤治療、ホルモン療法が追加されることもあります。
若年の患者さんで妊娠希望がある場合には、ホルモン療法によって子宮を温存する治療も選択されることがあります。
子宮体がんは、生活習慣の見直しによって予防できる可能性があります。
以下のような点に注意しましょう。
- 適正体重の維持
- バランスの取れた食生活
- 月経不順がある場合は早めに婦人科を受診
- 不正出血があれば放置せずに検査を受ける
- 家族歴がある場合は定期的なチェックを受ける
子宮体がんは、初期症状として現れやすい「不正出血」を見逃さず、早期に受診することが予後の改善につながります。
少しでも気になる症状がある方は、お気軽に当院までご相談ください。
子宮体がんの妊孕性温存治療について
子宮体がんは、排卵がうまく行われない状態が続くことによって起こることがあります。
本来、子宮内膜は排卵前にはエストロゲンの働きで厚くなり、排卵後には黄体ホルモンの働きで増えすぎが抑えられます。しかし、このバランスが崩れると子宮内膜が厚くなり続け、子宮内膜増殖症という状態を経て、子宮体がんへ進行することがあります。
子宮内膜増殖症のうち、異型のない段階であれば、ピルなどによる治療が可能です。
一方で、異型子宮内膜増殖症は子宮体がんの前がん状態とされ、放置すると約60%が子宮体がんへ進行するといわれています。この段階からは、がん化を防ぎ、治癒を目指すための専門的な治療が必要になります。
この治療は、将来の妊娠・出産を希望される方に対して、子宮を温存しながら治癒を目指す治療法です。子宮を摘出する根治療法(子宮全摘術)の代わりに行う、条件付きの保存的治療となります。
慎重な適応判断と厳重な経過観察が必要ですが、専門医の管理のもとで行うことで、リスクに配慮しながら将来の妊娠の可能性を残すことができます。
治療成績について
文献上、妊孕性温存治療の成績は以下のように報告されています。
- 完全寛解率(病変が認められなくなる割合):約70〜80%
- 再発率:約30〜40%
- 再発した場合には、子宮全摘術が必要になることがあります
また、再発を防ぐためには、患者さんごとのホルモン環境を十分に評価することが大切です。当院では、治療後も妊活開始直前までピルなどを用いて治療効果の維持と再発予防を行います。
さらに、妊娠中や出産後も、必要に応じて排卵やホルモン状態を適切に管理し、再発予防につなげていきます。
※妊孕性温存治療は、将来の妊娠の可能性を残すための治療ですが、最終的に子宮全摘術が必要となる可能性があることを十分に理解したうえで治療を受けていただく必要があります。
当院の治療体制
当院では、がん専門病院・大学病院で妊孕性温存治療を十分に経験してきた院長・副院長が診療を担当いたします。
全面掻爬術(日帰り手術)による適切な評価を行いながら、専門病院と同等レベルの治療を目指しています。治療に用いるホルモン剤は、ピルと同様に血栓症などの副作用に注意が必要です。
そのため、治療中は安全性に十分配慮し、夜間や休診日なども必要に応じて大学病院と連携しながら対応できる体制を整えています。
また、治療を始めるにあたっては、患者さんご本人に注意していただきたいことや、治療の効果・限界についても丁寧にご説明し、十分にご理解いただいたうえで慎重に治療を進めてまいります。
どうぞ、身近に相談できる専門医としてお気軽にご相談ください。
ご予約の際は、「婦人科検診・おりもの異常・その他の診察またはその他診察」を選択してください。
卵巣がん
卵巣がんは、卵巣にできる悪性腫瘍で、婦人科がんの中でも特に発見が難しく、進行してから見つかることが多いがんです。
卵巣は骨盤内の奥に位置しているため、初期には自覚症状がほとんどなく、気づいたときには進行しているケースも少なくありません。
そのため、卵巣がんは、「サイレントキャンサー」とも呼ばれています。
卵巣がんのはっきりとした原因はわかっていませんが、排卵の回数が多いほどリスクが高まるとされており、ホルモンの影響や遺伝的な要因も関与していると考えられています。
特に、BRCA1やBRCA2といった遺伝子の変異は、卵巣がんのリスクを大きく高めることが知られています。
卵巣がんは40代以降に多く見られ、特に更年期世代の50〜60代にピークを迎えます。
さらに80歳前後でも発症が多くなっています。
以下のような方は発症リスクが高いとされています
- 出産経験がない方
- 月経回数が多い方(初潮が早い・閉経が遅い)
- 家族に卵巣がん・乳がんの人がいる方(家族歴)
- BRCA遺伝子変異を持つ方
- 不妊治療の既往がある方
症状
卵巣がんの初期にはほとんど自覚症状がありませんが、がんが進行すると次のような症状が現れることがあります。
- 下腹部の張り(腹部膨満感)
- 食欲低下やすぐ満腹になる
- 便秘や頻尿などの排泄異常
- 腰痛や下腹部の鈍痛
- 体重減少、倦怠感
これらは他の病気でも起こる症状のため、見過ごされやすい点が卵巣がんの発見を遅らせる要因となっています。
検査
診断には経膣超音波検査や腹部超音波検査が有効です。
また、腫瘍マーカー(CA125、HE4など)の血液検査を併用し、がんの可能性を調べます。
より詳しい評価には、MRIやCT検査、必要に応じてPET検査を行うこともあります。
確定診断には手術による組織検査が必要です。
治療
卵巣がんの治療は、手術と抗がん剤治療(化学療法)が中心となります。
手術では卵巣・子宮・卵管・リンパ節などを摘出し、がんの広がりを確認しながら病巣をできるだけ取り除きます。
術後に抗がん剤治療を行うことで、再発のリスクを減らします。
がんの進行度やタイプによって治療方針は変わるため、個別の対応が必要です。
卵巣がんは進行してから発見されやすいがんですが、定期的な婦人科受診や画像検査、家族歴の確認などにより、早期発見につなげることが可能です。
40歳以降は定期的に超音波検査などの検査を受けることをお勧めします。
参考→卵巣がん検査
ご予約の際は、「婦人科検診・おりもの異常・その他の診察またはその他診察」を選択してください。
遺伝性・家族性腫瘍
がん(腫瘍)は細胞の異常によって発症しますが、そこには加齢や環境要因、遺伝要因が関わっていると考えられています。
環境要因には、食習慣や喫煙、飲酒といった生活習慣や、感染、炎症などがあります。
一方、遺伝要因とは、生まれつき持っている遺伝子の変化のことです。
遺伝要因によるがんは「遺伝性腫瘍(症候群)」(家族性腫瘍)と呼ばれ、がんの原因の約5~10%が、この遺伝性腫瘍であると言われています。
遺伝性腫瘍では、がん細胞自体が遺伝することはありません。
遺伝すると考えられているのは、病気(がん)を引き起こしやすい遺伝子の変化(これを病的バリアントといます)です。
がんに関わる遺伝子としては、いわゆる「がん遺伝子」と「がん抑制遺伝子」と呼ばれるものがあります。
ヒトは遺伝子を父親と母親から半分ずつ受け継ぎます。
その際、どちらかの遺伝子(たとえばがん抑制遺伝子)に変化があると、その変化を受け継ぐ可能性があります。
ただし、どちらかの親から変化を受け継いだとしても、すぐにがんになるわけでありません。
もう片方の親から受け継いだ遺伝子が正常であれば、その機能が補われるからです。
しかし、何らかの原因(加齢や環境要因など)で正常な遺伝子に変化が起こると、がんを発症する確率が高くなります。
遺伝性腫瘍の主な種類
遺伝性腫瘍は、どの遺伝子に変化があるかにより、発症リスクが高くなるがんが異なります。
いくつかの代表的な遺伝性腫瘍には、次のようなものがあります。
遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)
BRCA1またはBRCA2遺伝子の変異により、乳がんや卵巣がんを発症しやすくなる疾患です(後述)。
リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)
大腸がん、子宮体がん、卵巣がんなどのリスクが高まります。
MLH1、MSH2、MSH6、PMS2という4種類のがん抑制遺伝子に変化が起こることが原因です。
いずれかの遺伝子に変化がある場合にリンチ症候群と診断されます。
リー・フラウメニ症候群
TP53というがん抑制遺伝子の異常により、乳がんや肉腫、脳腫瘍、小児がんなどさまざまながんを若年で発症しやすくなります。
近親者に若くしてがんになった人がいる場合、幼少期に発症する可能性があります。
家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)
大腸に100個以上の多発するポリープ(腺腫)が発症するのが特徴で、それががんへ進展するリスクが高い疾患です。
原因となるのはAPCというがん抑制遺伝子です。
10歳代からポリープが増え始めることもあり、大腸がんの予防的手術が検討されることもあります。
遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)について
HBOC(Hereditary Breast and Ovarian Cancer)は、BRCA1またはBRCA2遺伝子の生まれつきの変異によって、乳がんや卵巣がんの発症リスクが高まる遺伝性腫瘍です。
たとえばBRCA1遺伝子に変化のある女性の卵巣がん発症リスクは39~46%,BRCA2遺伝子の場合は12~27% であると報告されています。
このほか、膵臓がん、メラノーマ(悪性黒色腫)、男性の乳がん、前立腺がんのリスクも増加します。
特徴的な傾向として以下が挙げられます
- 若い年齢での乳がん発症(40歳未満)
- 両側の乳がん、多発性乳がん
- 乳がんと卵巣がんの両方の発症歴がある
- 血縁者に同様のがんが複数いる
検査について
HBOCが疑われる場合は、まず遺伝カウンセリングを行い、本人と家族の病歴を確認します。
そのうえで、血液を用いた遺伝子検査(BRCA1/2)によって変異の有無を調べます。
検査は医療保険の対象となる場合もあります。
BRCA1・2遺伝子変異が確認された場合、がんの早期発見または予防を目的として、以下のようなことが検討されます。
- 乳房MRI、超音波、腫瘍マーカーなどによる定期的な観察を行う
- 予防的乳房切除・卵巣卵管摘出手術(リスクを大幅に下げる手術)を行う
- ホルモン療法による予防的治療(選択的エストロゲン受容体調整薬の使用など)
また、BRCA変異が確認された場合、血縁の方(特に娘や姉妹)にも同じ変異がある可能性があるため、ご家族への情報提供と、希望に応じた検査・カウンセリングが重要となります。
遺伝性腫瘍は、正確な診断と適切な対応によって、がんの早期発見や発症リスクの低減が可能です。
当院では、遺伝子検査、および婦人科専門医による丁寧なカウンセリン体制を整えておりますので、ご自身やご家族に心当たりのある方は、お気軽にご相談ください。
乳がん後の婦人科検診
乳がんの治療を受けた後、または現在治療中・経過観察中の方にとって、定期的な婦人科検診は非常に重要です。
乳がんは治療後も、再発や、卵巣や骨、子宮などへの転移のリスクがゼロではありません。
また、ホルモン療法など、乳がんの治療によって影響を受けやすい女性ホルモンや子宮・卵巣の状態を正しく評価・管理することは、これからの健康維持にも直結します。
そのため、継続的な検診が重要になります。
当院では、乳がん治療中または治療後の患者さまに対して、婦人科専門医による丁寧な検診・相談体制を整えております。
手術後、住まいの近くで定期的な健診を受けたいという方は、お気軽にご相談ください。
ホルモン療法と婦人科への影響
乳がんの治療には、手術、抗がん剤、放射線療法、ホルモン療法(内分泌療法)などさまざまな方法があります。
中でもホルモン療法を受けている方は、婦人科的な影響が生じやすくなります。
乳がんの約7割は「ホルモン受容体陽性」のタイプであり、再発予防のためにホルモン療法(内分泌療法)が行われます。
代表的な薬剤には、タモキシフェンやアロマターゼ阻害薬(アリミデックス、フェマーラなど)があります。
タモキシフェン
乳がん細胞へのエストロゲンの作用をブロックしますが、子宮内膜にはエストロゲン様の作用があり、子宮内膜増殖症や子宮体がんのリスクがやや高まることが知られています。
アロマターゼ阻害薬
閉経後の女性に用いられ、体内のエストロゲン生成を大幅に抑えるため、膣の乾燥、性交痛、骨粗しょう症などが起こることがあります。
これらの薬剤の副作用や合併症を早期に発見・管理するためにも、定期的な婦人科的なフォローが欠かせません。
治療後に現れやすい婦人科的症状
乳がん治療後の患者さんが訴える婦人科的なトラブルには、以下のようなものがあります。
- 不正出血(月経様出血、茶色のおりもの)
- 膣の乾燥やかゆみ
- 性交痛
- 更年期症状(ほてり、発汗、イライラなど)
- 骨量の低下、骨粗しょう症
- 子宮・卵巣の腫瘤(良性・悪性を問わず)
こうした症状は、治療にともなうホルモン環境の変化や、加齢と重なって現れることがあります。
放置せず、婦人科で相談することで、症状の緩和や適切な治療につながります。
婦人科検診で行う検査内容
治療内容や年齢に応じて、以下のような検査を定期的に行うことが勧められます。
- 子宮頸がん検診(細胞診)
- 子宮内膜の厚さ確認(経膣超音波)
- 子宮体がん検査(不正出血がある場合)
- 骨密度測定(閉経後やアロマターゼ阻害薬使用中の場合)
- 卵巣のチェック(嚢腫や腫瘍の有無)
- 膣や外陰部の状態確認
乳がんの治療が終了しても、身体の回復や新たな健康リスクへの対応は続いていきます。
特にホルモン療法中の方や閉経期にさしかかる方にとって、婦人科の定期検診は、ご自身の体調を把握し、安心して生活するための大切な支えになります。
がん治療後のケア
がんの治療は、手術・抗がん剤・放射線治療・ホルモン療法などを組み合わせて行われ、治療が一段落しても、その後の経過観察や体調の変化に注意が必要です。
当院では、子宮がん・卵巣がん・乳がんなどの婦人科がんの治療後、あるいは治療中・経過観察中の方、さらにはご家族の方に対して、継続的なケアを行っています。
がんの治療が終わっても、体と心にはさまざまな影響が残ることがあります。
「治療が終わった=完治」ではなく、その後の生活を安心して続けていくためには、治療後のケア(サバイバーシップケア)が欠かせません。
私たちは地域のクリニックとして、日々の暮らしに寄り添いながら、患者さまとご家族を支える体制を整えています。
主にケアの対象となる方
- 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん・乳がんの治療後の方
- がん治療中の副作用や症状に不安を感じている方
- 経過観察中で定期的に診察を受けている方
- がん治療後のホルモンバランスの変化により体調が不安定な方
- 気分の落ち込みや不安感など、こころのケアが必要な方
- リンパ節摘出後の下肢(上肢)のむくみがある方
ほかにも何か症状や不安がありましたら、お気軽にご相談ください。
ケアの方法と内容
病診連携による情報の共有
がん治療を行った病院と連携し、診療情報や検査結果を共有することで、患者さまの状況を正確に把握し、継続的に見守ります。
必要に応じて専門病院と連携しながら、地域の身近な医療機関としての役割を果たします。
患者さまへの丁寧なヒヤリング
当院では診察時に、患者さまの体調だけでなく、生活の変化や気になる症状、不安なことなどを丁寧にお聞きします。
小さな変化も見逃さず、その方の状態に合ったアドバイスや対応を心がけています。
身体症状のケア
がん治療後には、さまざまな身体的な症状が現れることがあります。
痛みや倦怠感(だるさ)
必要に応じて痛み止めや漢方薬を処方し、生活に支障が出ないようサポートします。
ホルモンバランスの乱れによる症状
ほてり、発汗、イライラ、骨量減少など、更年期障害に近い症状が出ることがあります。
漢方薬、ビタミン剤、骨密度の評価や必要な栄養指導を行います。
体重増加・代謝の低下
ホルモン療法後の肥満には生活指導や栄養指導を行い、無理のない範囲で体重管理をサポートします。
患者さまの治療歴や年齢、体質に応じて、薬物療法だけでなく、生活習慣の改善や運動のアドバイスも行っています。
リンパ浮腫複合的治療
当院にはリンパ浮腫の認定看護師が在籍しており、医師と協力して包括的治療(圧迫ストッキングやドレナージなど)を行います。診療報酬で認められた包括的治療(保険治療)を取り入れ、標準的かつ質の高いリンパ浮腫ケアを行っています。
精神症状のケア
がんの治療後は、「また再発するのではないか」「以前のような生活ができないのでは」といった不安や気分の落ち込みが起こりやすくなります。
当院では、必要に応じてこころのケアも行い、必要があれば専門の精神科・心療内科とも連携を図ります。
- 日常の不安や悩みを話せる時間を大切にします
- 不眠や気分の変調がある場合は、軽度の漢方薬や安定剤の提案も可能です
- サポートが必要な方には、がん経験者向けの支援情報の紹介なども行います
地域の身近な場所で、安心できるケアを
大きな病院でのがん治療が終わった後も、日々の暮らしの中で心身のバランスを整える場所として、地域のクリニックの役割は大きくなっています。
当院では、がんを経験された方が安心して過ごせるよう、専門医が寄り添い、きめ細やかなケアを行っています。
どんな小さな不安でも、お一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。